TAG LIST

TOWN

あと2年で長期休館となる「金沢21世紀美術館」を改めて大解剖してみた

特徴的な”まるでプールの中にいるかのような写真”や”うさぎの耳のような椅子”…
美術館好きはもちろん、そうでない人でも一度は目にしたことがある人気のアートスポットといえば「金沢21世紀美術館」ではないでしょうか。


先日、石川県金沢市にある金沢21世紀美術館が、2027年5月から大規模改修工事のため長期休館に入ることが発表されました。2004年の開館から20年以上が経ち、現代アートの魅力を広く発信し、地域はもちろん観光の面でも多くの人たちを楽しませてきた施設。今回の休館を前に、これまでの歩みを振り返りながら、その魅力を改めてご紹介できたらと思います。

市民とともに育ってきた「参画交流型美術館」

美術館、特に現代アート美術館というと少しハードルが高いと感じる人も少なくないかと思います。
金沢21世紀美術館は、開館以来「まちに活き、市民とつくる」ことを理念とし、地域との関わりを重視して活動を続けてきました。単に作品を鑑賞する場ではなく、来館者がアートに参加し、学び、関わることができる“参画交流型”を目指した美術館として、市民ボランティアやサスティンメンバー、友の会の皆さんが展覧会運営やガイドなどに携わり、地域の商店街との連携企画なども数多く行われてきました。
これらの取り組みにより、美術館とまちの距離を縮め、市民が美術館の一部として関わる文化を育ててきました。誰もがいつでも立ち寄ることができる「現代アート美術館」の位置を確立させてきました。

公園のように開かれた空間、自由なアート体験

画像引用元:DiscoverJapan

その最も象徴的だといえる空間は誰もがふらっと立ち寄れる“公園のような美術館”を目指した設計です。建築は、世界的に活躍する建築ユニット・SANAA(妹島和世+西沢立衛)が手がけ、円形のガラス張りの建物が街の風景に溶け込むようなデザインとなっています。
特定の正面玄関がなく、どこからでも自由に入れる構造は、来館者にとっての“敷居の低さ”を象徴しており、館内外に点在している様々なアート作品が自分の気持ちが赴くままに、まるで散歩するように作品を楽しむことができる時間を過ごすことができるのです。

思わず「写真を撮りたくなる」ことの体験価値

特に、冒頭でも紹介した人気の高い《スイミング・プール》(レアンドロ・エルリッヒ作)は、プールの中にいるような感覚を味わえる体験型作品で、これを目的とし、美術館を訪れる人も多いでしょう。そのほかにも、3色のガラスが少しずつ交差して円形を成す彫刻作品《カラー・アクティヴィティ・ハウス》(オラファー・エリアソン作)や、建物の屋上に設置されている《雲を測る男》、そして、芝生に設置され た、12個のチューバ状に開いた筒が奏でる”音の遊び”が体験できる《アリーナのためのクランクフェルト・ ナンバー3》(フロリアン・クラール作)など、実際に見て、触れて、感じることができる作品が多く展示されています。ただ見るだけでなく、体験型にすること、そしてその様子をSNSなどで発信するために「撮影したくなる」ことで、より多くの人が”真似たい”というミームを生み出します。こうしてアートに対して「難しそう」というハードルが低くなる工夫が、遊び心を持って作品に触れられる空間へと作用しているのでしょう。

自然・都市・子どもが共存する「これからの文化拠点」

金沢21世紀美術館は、「世界の現在とともに生きる美術館」「子どもたちとともに成長する美術館」など、4つのコンセプトを軸に活動を展開しています。単なる展示空間にとどまらず、自然や地域文化、未来世代とアートをつなぐ“ハブ”としての役割を担うことを目的としているのです。たとえば、《ブルー・プラネット・スカイ》(ジェームズ・タレル作)は、建築と自然光を使って空と空間を意識させる知覚体験型の作品で、人々に新しい視点を与えてくれます。また、ガラスの廊下をまたぐようにつくられた《緑の橋》(パトリック・ブラン作)は100種類以上の植物に覆われた壁面が季節ごとに変化し、自然と都市の融合を体感できる空間となっています。
子どもたちに向けたキッズスタジオ・プログラムでは、展覧会や季節に合わせたテーマで芸術体験をするワークショップなども充実しており、未来の表現者・観客を育てる場所としても機能しています。「新しい文化の創造」や「まちの賑わいの創出」といった目標のもと、美術館は地域とともに成長し続けているのです。

休館前の“今”こそ、訪れるべき理由

画像引用元:CREA Traveller

2027年5月からの大規模改修を経て、金沢21世紀美術館はさらなる進化を遂げる予定です。
そんないつか来る新たな魅力の体験を前に、アートとまち、人と人がつながる場所として歩んできた金沢21世紀美術館、その原点ともいえる魅力を、再度改めてじっくりと体験することで、新たな気づきや心の動きを知ることができるかもしれません。

Community Branding Japanについて

CBJでは、全国の地域経済創発活動に力を入れて進めています。PRやブランディングのご支援にはじまり、実際にはたらくことを見据えた地域体験や研修プログラムづくりだけでなく、プロジェクトメンバー自身がLinkedInをはじめとするオウンドメディアでの発信することによって集客も担っていきます。活動にご興味を持ってくださる個人、企業、地方自治体の皆様、お気軽にお問い合わせください!

Edit by 高島吏紗

その他画像引用元:金沢21世紀美術館公式サイト

CBJプロジェクトで見つけた
ご当地商品をお自宅へお届け
「CBJ Market」

このフォームに入力するには、ブラウザーで JavaScript を有効にしてください。

RANKING

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3

RECOMMEND

PAGE TOP