Eテレの人気番組から生まれた体験型展覧会「デザインあ展」。今年は TOKYO NODE(虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 45F) に“neo”として帰ってきました。
※これまで2013年に21_21 DESIGN SIGHTで、2018年~2021年には日本科学未来館、富山県美術館など全国6つの美術館で開催され、合計116万人もの人が来場したそうです。
“デザインって何だろう?” と考えたくなる仕掛けが盛りだくさんな展覧会で、想像以上に濃い学びと発見の連続でした。
デザインあ展 neoとは?
「デザインあ展neo」は、NHK Eテレで放送中の番組「デザインあneo」のコンセプトを、体験の場に展開する展覧会です。「あるく」「すわる」「たべる」など、普段なんとなく行っている行動(動詞)から着想した様々なデザインの展示が楽しめます。
「デザインあ展」を語るうえで欠かせない人物が、番組および本展の総合ディレクターを務めるグラフィックデザイナー・佐藤卓さんです。1955年生まれ、東京藝術大学大学院修了後にTSDO Inc.(佐藤卓デザイン事務所)を設立し、パッケージデザインから企業VI(ビジュアル・アイデンティティ)、展覧会企画まで幅広く活躍されている方でご存知の方も多いのではないでしょうか。代表作には「明治おいしい牛乳」「ロッテ キシリトールガム」のパッケージや、《PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE》のグラフィックなどがあり、日常のプロダクトを通じて“当たり前の中に潜むデザイン”を可視化するプロでもあります。
佐藤さんはNHK Eテレ番組『デザインあ』の立ち上げ時から「考えるより“感じる”デザイン教育」を提唱し、番組の映像・音楽・造形の全体監修を担当。2013年、2018年に続く今回の「デザインあ展 neo」でも“みる・かんがえる・つくる”という学びの循環を軸に、360°シアターや分解パズルなど体感型コンテンツをディレクションされているそうです。
大人も子どもも楽しめる!
各展示室には「あるく」「たべる」「すわる」「もつ」などといった動詞ごとに、観察・考察・体験のステップで構成された35点の作品が並んでいます。吹き抜けの⾼天井に様々な展示がされている空間や、 360°ぐるっとスクリーンになっていて入った瞬間から「デザインの中に自分が入り込む」ような感覚を味わえる空間など、エリアごとに特徴のある構成になっていました。中でも記憶に残っているものをご紹介しようと思います。
動詞の庭
会場に入って一番最初の空間にある「動詞の庭」。そこには私たちが普段意識しずとも行っている行動や、目にしている動きが可視化され展示されていました。「そろ」「える」と書かれたスリッパは、散らかっている状態から綺麗に揃った状態に動いたり、「うつ」と書かれたキーボードのキーがカタカタと動いていたり…。人間抜きで、文字とモノを使って動詞が可視化されているなんとも不思議な展示でした。

360°シアター
360°スクリーンに囲まれて映像と音楽を色んな角度から感じる作品。音楽家・蓮沼執太さんが手がけるサウンドが全方位から鳴り、映像が足元まで迫る体験は従来の展覧会とはひと味違う、“身体で聴くデザイン”でした。かなり没入感のある空間で、映像そのものの世界観にのめり込んでいくような感覚が味わえます。

Time Outより引用
デッサンあ
モチーフを囲うように様々な人がデッサンする「デザインあneo」の番組内のコーナーから生まれた展示で、会場ではモチーフを取り囲むように置かれたイーゼルと椅子に座ってたくさんの人がデッサンできるような空間になっていました。(期間によってモチーフは変更されるようで、私が行った時はワークチェアがモチーフになっていました)描かれたデッサンはモニターにも映し出されるのですが、特設サイト「デッサンあ」とも連携しており、その日描かれたデッサンがサイトからも見られるようになっています。人によって、その人が見ている角度によって、感じ方によって、モチーフの様々な表情を見ることができる展示でした。

美術手帖より引用
行く前に知っておきたいポイント
チケットは日時指定制。土日祝は早めに完売するので公式サイトで事前購入をしておくのが良さそうです。所要時間は1.5〜2時間が目安ですが、「デッサンあ」などのワークショップにじっくり参加するならプラス30分あると安心です。会場の半分以上は写真撮影OKなので、家族や友人との夏休みの思い出作りにもぴったりかもしれません。
◾︎会期
2025年4月18日(金)~ 9月23日(火 ・ 祝)
◾︎開館時間
10:00~19:00(入場は閉館の30分前まで)
※各月第一 ・ 第三水曜日は17:00閉館(16:30最終入場)。9月17日(水)は19:00閉館。
◾︎会場
TOKYO NODE GALLERY A/B/C(虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 45F)
◾︎料金(日時指定制)
2,500 円(一般)、1,200円(高校生/中学生)、1,000円(小学生)、500円(2歳以上)、無料(2歳未満)
※小学生以下の入場には保護者の同伴が必要。 ※障がい者の介助者の方は1名無料。
◾︎主催
TOKYO NODE、NHK、NHKエデュケーショナル、NHKプロモーション
◾︎特設サイト
https://exhibition-ah-neo.jp/