岩手県にある遠野市。豊かな自然に囲まれた静かな町です。柳田國男の『遠野物語』で知られる民話の里として有名ですが、実は日本一のホップ生産地でもあります。
そもそも国産ホップが今もあることすら知りませんでした!
遠野市がホップ栽培に参入したのは、高度経済成長期。ビール消費は急増し、日本産ホップの需要が拡大していました。当時の日本のホップ自給率は約80%。1984年に岩手県がホップ生産量1位、遠野市は全国市町村で1位まで伸びていきました。
遠野市がホップ栽培で成功を収める一方で、国内のホップ生産全体は厳しい局面に立たされていました。
人件費の高騰や農業政策の変化によって国産ホップの価格が上昇。機械化や品種改良などコスト削減に励みましたが、追い打ちをかけるように急激な円高が進み、1988年には、国産ホップの平均価格は輸入品の約2.5倍にまで膨れ上がり、輸入のホップがメジャーになっていきました。
現在のホップ農家は全盛期の70%減。後継者不足や輸入ホップの増加などが原因で、日本のホップ農家は厳しい状況です。
そんな中。遠野市では伝統を守りながら、新たな挑戦を続けています。
遠野市の冷涼な気候と肥沃な土壌はホップ栽培に適しており、品質の高さにより多くのビールメーカーに高く評価されています。現在、遠野のホップ農家は、減農薬栽培や有機栽培など、環境に配慮した栽培方法に取り組み中。新品種の開発にも力を入れており、個性豊かなホップを生み出しています。
そんな遠野のホップを楽しめる新しい商品も出てきています、
お酒が飲めない方でも楽しめるノンアルコールドリンク「遠野風の丘 ホップソーダ」です!
※ 道の駅 遠野 風の丘 オンラインショップ より
ホップの爽やかな香りとほのかな苦味が楽しめる新感覚のドリンクです。遠野産のホップを100%使用し、熟成ホップエキスによって、ホップ本来の香りと苦味を最大限に引き出しています。甘さ控えめですっきり、ご飯に合います!
ホップソーダ1本あたり10円がホップ生産維持のために寄付される仕組みとなっており、飲むことで遠野のホップ産業を応援することができます。ホップ農家の熱い想いと、遠野の未来への希望が込められていますよね。岩手県の人でもホップ生産量が1位という事実を知らない人も多いようで、こういった商品をきかっけに地域を愛する人が増えていく流れが素敵だなと思いました。
この商品を開発しているのは「遠野ふるさと商社」という岩手県遠野市の物産振興や観光活性化を担う地域商社さん。今年からDMO登録をされており、益々注目の地域になっていく予感です!
Edit by 高崎澄香