皆様、「ジビエ料理」と聞いたときにどのようなことを想起しますか?
次に、「害獣」と聞いたときにどのようなことを想起しますか?
本日は福井県は敦賀市で学んだ「ジビエ料理」と「害獣」に関して、リアルな現場をお届けしていきます。
山に入る
福井県敦賀市は、2024年3月16日に北陸新幹線の金沢~敦賀間が開業し、東京から直通で行くことができる場所になりました。新しく整備された綺麗な敦賀駅の改札を出ること車で20分。景色はすっかり森や海に様変わりします。
そして、森に入って10分、そこには集落が広がっており、物々しい金網に囲まれています。その正体はイノシシ、鹿、猿を集落内や田畑への侵入を防ぐものです。
金網の上部には、電線も張られています。
見渡す限りの金網と電線。これらの設置費用だけでなく、市や県は維持管理費や電気代を支払い続ける必要もあります。こうでもしないと作物は荒らされ、住民の生活が脅かされます。
このような背景があるため、イノシシや鹿、猿(ときにキジや鴨も)は害獣と呼ばれるようになります。害獣と呼ばれる生き物たちとの向き合い方を学ぶため、今回は法律上、集落のルール上、許される範囲で山に入っていきます。
体重50kgのメス鹿との出会い
僕たちが(実際には、ルール上NGのため運搬用の車で)出会ったのは、体重約50kgのメス鹿。推定3歳と見られ、人間の大人が1人で担ぐことが難しいくらいの大きさでした。
僕たちに出会う、ほんの2-3分前までは生きている個体でした。解体場に連れられて行くや否や、進んでいく解体作業。
皮をはぐ様。
筋膜をはがす様。
頭を落とす様。
関節と関節に丁寧にナイフを入れる様。
恐らく、これらすべての「様」は閲覧注意とされ、インターネット上の世界では見ることができません。
でも本当に閲覧注意なのでしょうか?
僕たちが普段いただいているお肉(牛、豚、鳥、魚)も、この鹿と同じように(多くは養殖ですが)、どこかで解体され、おろされた状態の「食材」として、スーパーに陳列され、
家やレストランで料理され、食卓に並んでいます。
僕たちの社会や生活の中で、分業化が進み過ぎてしまったことによって、「知るべきこと」「見るべきこと」も見えなくなっているのかもしれません。
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衝撃的な光景との遭遇
狩猟体験の道中、衝撃的な光景を目にしました。
50㎡くらいの畑一面に、猿、猿、猿。猿の集団です。
秋の収穫を終え、少しだけ残っている稲穂に猿が群がり、近隣住民はその度に恐怖を感じています。
人口が増え、食料高があがる
→里山を切り開き、田畑を増やす
→人口減になり、田畑管理が行き届かなくなる
→綺麗な収穫ができなくなり、森の生き物が食べに降りてくる
この構図が(敦賀での)害獣被害に繋がっているようです。
加えて、ここでも温暖化現象の影響が…。
数年に1回は大雪が降り、森の生物個体数が一気に減る時期が必要なようです。
しかし、近年は温暖化現象の影響で大雪が降らず、
生物の個体数が減らない。結果、これらの生物も
害獣として駆除対象になっていく…。われわれ人間から害獣と名付けられてはいますが、本当に害獣と名付けて良い存在なのでしょうか。人間が作り出した害獣なのではないでしょうか。そんなことも考えさせられます。
いつもは閲覧注意として見れない映像を
自分の目で見ること、
その足で地域で起きている害獣被害を
自分の目で見ること、
・地球環境の変化を知ること
・自分が身近なところからできることを考えること
・ジビエ料理を身近にしていこうと考えること
など、に繋がると考えています。
そのため、「閲覧注意を見ること」は
本当は必要なことなのではないか…。
そんな風に感じています。
「いただきます」を感じる
子供の頃、よく親や学校から、こんなことを伝えてもらっていました。
「すべての生き物に感謝して、食べるんだよ。」
この教えは、今でも大切にしています。自分でつくる料理、居酒屋で出てくる料理、ホテルのビュッフェ、すべての場面においても残さず食べることを大事にしてきました。
しかし、今回の体験を経て、もう少し考えてみるキッカケができました。
「自分が食べている食材そのもの」に関してです。
普段口にしているお肉は骨までちゃんといただけているのか。野菜は形や色を気にして無駄に捨てていないか。
「いただきます」は、自分の目の前にある料理だけでなく、この食卓に辿り着くまでの食材が無駄なくちゃんと使われているのか、を気にする行為なのかもしれません。今回の鹿の解体の場合、人間が焼いて食べることのできる部位だけでなく、「骨の用途は?」「足のスジの用途は?」をしっかりと考えていくことです。
動物たちが生息する森を切り開いた人間にできることはどのようなことでしょうか?それは、もしかしたらジビエ料理として美味しく最後までいただくことだったり、もしかしたら人口減で不必要になってしまった土地を森に戻していく活動だったりなのかもしれません。
最後に、里を切り開いた人間の一員として新鮮な鹿肉と熟成した鹿肉をしっかりといただいて終わりにしたいと思います。
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Edit by 長嶺将也