2025年、大阪湾に浮かぶ夢洲(ゆめしま)は、世界中の期待を乗せて未来を体現する舞台となります。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにした大阪・関西万博。会場に一歩足を踏み入れると、そこには異国情緒あふれる光景と音が広がっていて来場者をパッと華やかな未来へと連れて行ってくれます。

この華やかな未来都市からほんの少し内陸へ入った場所に、教科書があまり語りたがらない、もう一つの「日本の中心」が静かに眠っていることをご存知でしょうか。その名も「難波宮跡(なにわのみやあと)」。先日、この古代の都の謎を確かめたくて、僕はカメラ片手に大阪の街へ繰り出しました。
都心に広がる不思議な光景と対面
地下鉄「森ノ宮駅」の駅を降りて地上に出て数分、目の前に広がる光景にまず驚かされます。高層ビルに囲まれた都心のど真ん中に、ぽっかりと広大な原っぱが広がっているのです。ここが、かつて日本の首都、難波宮があった場所です。


写真から見て取れるのですが、大きな殿跡とその建物を支えていた支柱跡が今でもはっきりと目で見ることができるのです。
「本当にここに都が…?」
半信半疑のまま、今は公園として整備された史跡を歩きます。でも、なぜこんなにすごい場所なのに、歴史の授業では「飛鳥・奈良から京都へ」と、大阪はスルーされがちなのでしょう。実は、難波宮の歴史は、成功物語だけではない、人間味あふれる複雑なドラマに満ちていたから。悲劇的な結末を迎えた天皇、短期間で首都を転々とした時代…。その複雑さが、歴史の教科書からこの都を「語られにくい存在」にしているのかもしれません。そんな物語に思いを馳せながら、復元された大極殿の基壇に立つと、遠くに大阪城の天守閣が見えました。


歴史を未来へ紡ぐための街づくり
この旅のハイライトは、難波宮跡から隣の大阪歴史博物館へと向かう、わずか数分の道のりでした。ふと上を見上げると、ある不思議な光景に気づいたのです。街の真ん中を貫く阪神高速道路。ずっと頭上を走っていたはずの高架が、この難波宮跡のエリアにさしかかると、わざわざ地上に降りてきて、遺跡の脇を通り過ぎると再び高架へと上っていくのです。



まるで、現代のインフラが、地下に眠る1400年前の都に敬意を払い、そっと道を譲っているかのよう。この光景を見つけたとき、僕は思わず声を上げてしまいました。過去と現在が共存するとは、まさにこのこと。この街が、自らの歴史をいかに大切にしているかが伝わってきて、胸が熱くなりました。
高速道路の高架を建設するためには、地中深くまで鉄骨を建てなければいけません。その建設作業を行うにあたって、地中に眠る史跡を傷つけたり、破壊してしまう可能性があります。未来への遺産を紡いでいくために大阪市は、わざわざ高架をなくし地上を一度走らせるという歴史への敬意を示したのです。(ロマンと感動!)
大阪歴史博物館で大阪の全貌に触れる
そして、旅の終着点、大阪歴史博物館へ。エレベーターで10階に上がると、そこには息をのむような光景が待っていました。窓の外に、先ほどまで僕が歩いていた難波宮跡の全景が広がっているのです。まるで、巨大な歴史のパズルが目の前で完成したかのよう。原っぱにしか見えなかった場所が、建物の配置を示す印と共に、壮大な都の跡地として眼下に広がる光景は、まさに圧巻でした。

未来と過去を繋ぐ旅で自分だけの道を拓く
2025年、私たちは大阪で未来を目撃します。それも素晴らしい体験です。でも、もし大阪を訪れるなら、ぜひご自身の足でこの「過去」を巡るツアーも体験してみてください。自分の目で見て、歩いて、発見する旅は、未来の体験と同じくらい、きっと心に深く刻まれるはずです。
未来の輝きと、足元に眠る古代の光。二つの時間が交差するこの街で、あなただけの「時を超える旅」を見つけてみませんか?
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Edit by 長嶺将也