以前、「マツコの知らない世界」でマンホール特集が放送されていたことをご存じの方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?僕はショート動画の切り抜きで目にしたときに「こんな特集組むの⁉」と驚いたことを覚えています。マンホールの蓋。普段、僕たちが道を歩いていても、あまり気にも留めない存在かもしれません。でも、もしその蓋が、世界に一つだけの特別なデザインで、しかも大好きなポケモンの絵が描かれていたら…?
全国各地で話題になっている「ポケふた」は、そんなワクワクを現実にしてくれるプロジェクトです。今日は千葉県内で初めて「ポケふた」が設置された地域である香取市のポケふたに迫っていきたいと思います。
香取市のポケふたは、ただ可愛いだけじゃない。そこには、この土地が誇る壮大な歴史と、知れば知るほど「なるほど!」と膝を打ちたくなるような深い物語が隠されていました。今回は、特に日本の歴史に大きな足跡を残した「伊能忠敬」と、武道の神様として知られる「香取神宮」にスポットを当てながら、ポケふたに込められた秘密を解き明かす冒険に、皆さんをご案内します!
(以前の記事で香取市の紹介もしておりますので是非合わせて読んでみてください♪)

若き情熱が生んだ、地域とのハーモニー
この素晴らしいプロジェクトが、香取市役所の20名以上の若手職員さんたちの手によって企画されたという事実を知った時、僕は胸が熱くなりました。自分たちのまちの魅力を、自分たちの言葉で伝えたい。そんな純粋でパワフルな想いが、このポケふた一枚一枚に魂を吹き込んでいるんです。(地域職員の方々の仕事は多岐に渡り、緻密であったりもしますので、プロジェクトが一つ増えるということがどれだけ大変なことか…)
このプロジェクトは、ポケモンの世界的な人気を通じて観光を盛り上げ、香取市の未来を明るく照らすための大きな一歩。そして、その根底にあるのは、何よりも地域を愛する人々の温かい想いなんです。職員の皆さまが紡いだ「地域とポケモンをつなぐストーリー」は、僕たちに香取の魅力を発見する「魔法の鍵」を手渡してくれます。
さあ、その鍵を使って、最初の扉を開けてみましょう。旅の始まりは、香取市の玄関口、JR佐原駅からです。
武の神と測量の巨人。ポケふたに宿る二つの魂
香取市が誇る二大シンボルといえば、間違いなく「香取神宮」と「伊能忠敬」。驚くべきことに、ポケふたのデザインは、この二つの偉大な歴史と奇跡的なリンクを果たしていました。
武人の祈り:香取神宮とガラルカモネギの「三重の絆」

JR佐原駅前で僕たちを迎えてくれるのは、太く立派なネギを携えた「ガラルカモネギ」です。なぜ、このポケモンが選ばれたのでしょうか?その答えは、香取神宮の歴史を紐解くと見えてきます。
香取神宮は、古くから「武道の神様」として崇められてきた、日本でも有数の格式高い神社。多くの武士たちが勝利を願ってこの地を訪れました。ポケふたの背景に描かれている、地震を起こす大ナマズを押さえつけているという伝説の「要石(かなめいし)」は、まさに武人が求める「安定」と「力」の象徴です。
ここで注目したいのが、このポケモンが通常のカモネギではなく、「ガラルのすがた」であるという点。ガラルカモネギは、なんと純粋な「かくとう」タイプ!勇猛果敢に戦うその姿は、まさに香取神宮が象徴する武の精神そのものです。
でも、話はこれだけでは終わりません。このポケふたには、さらに二つの深い意味が隠されていました。

一つは、ストーリー。市の職員さんたちが考えた物語では、ガラルカモネギは「必勝祈願のために香取神宮を訪れた戦士」として描かれています。なんとロマンあふれる設定でしょうか!
そしてもう一つが、僕も調べてみて驚いたのですが、香取市がネギの産地であるという事実です。ガラルカモネギが武器として持つ「ネギ」。それが、この土地の農業と繋がっていたなんて!
武道の神様のもとに、かくとうタイプのポケモンが、特産品のネギを持って必勝祈願に来る。これほど完璧な組み合わせがあるでしょうか?これはもう、偶然ではありません。地域の歴史、文化、そして産業までをも見事に表現した、まさに「神がかり的」なデザインだと言えるでしょう。
測量士の旅団:伊能忠敬とタイレーツの「奇跡の符合」

次に訪れるのは、歴史的な町並みが美しい佐原の中心地、伊能忠敬記念館。ここに、僕が最も感動したポケふたがあります。描かれているのは、6匹で一つの隊列を組む「タイレーツ」と、その周りを飛ぶ「ココガラ」です。
伊能忠敬。皆さんも、日本で初めて正確な日本地図を作った偉人として、その名前を知っていると思います。しかし、彼がその偉業を始めたのが、なんと55歳の時だったことはご存知でしょうか?まさに、人生に「遅すぎる」ことはない、ということを体現した人物です。
そして、僕たちの心を揺さぶるのが、その旅の始まり。1800年、未知の土地であった蝦夷地(現在の北海道)へと向かった第一次測量隊の人数は、忠敬本人を含め、わずか「6人」でした。

そうなんです。察していただけましたでしょうか?
6匹で一つの隊列を組み、一糸乱れず行動する「じんけいポケモン」、タイレーツ。 そして、6人で日本の形を明らかにするという、壮大な旅を始めた伊能忠敬の測量隊。
この二つの「6」が、200年の時を超えて、このマンホールの上で完璧に重なり合ったのです。市の職員さんがこの奇跡的な一致に気づいた時の興奮を想像すると、僕まで鳥肌が立ってしまいます。これは、歴史とポケモン、双方への深い愛と敬意がなければ生まれなかった、感動的なペアリングです。
そして、傍らを飛ぶココガラは、「勇敢」でどんな強敵にも挑むポケモン。それは、年齢の壁を乗り越え、未知なるものへ果敢に挑戦した忠敬と仲間たちの、不屈の精神そのものを象徴しているように見えませんか?このポケふたは、僕たちに語りかけてくれます。「夢を追うのに、遅すぎることはない。信頼できる仲間がいれば、なんだってできるんだ」と。
水と花が彩る、香取ならではの風景
香取市の魅力は、歴史だけではありません。利根川の恵みを受けた「水郷」としての文化と、四季折々の美しい自然も大きな魅力です。残る二つのポケふたは、そんな香取の風景を見事に切り取っていました。
花園の守護者:水郷佐原あやめパークとフラージェス

150万本のハナショウブが咲き誇る「水郷佐原あやめパーク」。この美しい公園の入り口には、「ガーデンポケモン」のフラージェスが描かれています。自分のテリトリーに美しい花園を作るというフラージェスは、まさにこの公園の守護者のよう。

そばにいるヤヤコマは、その美しい花園に引き寄せられてやってきた来訪者。これは、公園が自然の美を育むことで、僕たち人間が癒しを求めて訪れる、という素晴らしい関係性を象徴しているかのようです。
水路の精神:水の郷さわらとハスボーたち

かつて利根川の水運で栄え、「江戸優り」とまで言われた佐原の町。その歴史を今に伝える「道の駅・川の駅 水の郷さわら」には、ハスボー、タネボー、ムクバードが描かれています。
ここで注目したいのは、「泳げないタネボーを、ハスボーが葉っぱに乗せて運んでいる」という、なんとも微笑ましいシーン。実はこれ、かつて佐原の経済を支えた水運の様子を表現しているんです。

水の上を移動できるハスボーが「さっぱ舟」や「船頭さん」を、陸のポケモンであるタネボーが運ばれる「荷物」や「人々」を象徴している。このデザインは、水と共に生き、栄えてきた香取の歴史そのものを物語る、一つの寓話のようです。
ポケふたは、まちを知る「冒険の入り口」
香取市の4つのポケふたを巡る旅、いかがでしたか?
このプロジェクトの本当にすごいところは、ピカチュウのような誰もが知るポケモンではなく、一見すると「なぜこのポケモン?」と考えてしまうような、少し「通好み」なポケモンを選んでいる点です。
でも、その「なぜ?」こそが、冒険の始まり。
「なぜガラルカモネギなんだろう?」と考えれば、香取神宮の武の歴史や、地域の農業にたどり着く。 「なぜタイレーツなんだろう?」と調べれば、伊能忠敬の6人の測量隊という感動的な事実に巡り会う。
そう、ポケモンたちは主役ではなく、香取市の奥深い歴史や文化を解き明かすための「魔法の鍵」なんです。ポケふたを巡ることで、僕たちは自然とこのまちの物語に引き込まれていきます。
これらのポケふたは、すべてスマホゲーム『Pokémon GO』の「ポケストップ」にもなっているので、ゲームを楽しみながら、実際に自分の足で香取のまちを歩き、歴史の息吹を感じてみてください。
JR佐原駅で自転車を借りて、歴史的な町並みを駆け抜けるのもおすすめです。伊能忠敬が見上げた空を、あなたも見上げてみませんか?香取神宮の厳かな空気を感じ、水郷の風に吹かれてみませんか?
是非、皆様のお気に入りの地域の「ポケふた」とその蓋にまつわる「歴史」を教えてください♪
皆様の旅が「ポケふた」と一緒に、より豊かなものになりますように。
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Edit by 長嶺将也