夏が近づくと、公園やアウトドア、ベランダ時間が楽しくなる一方で、避けられないのが「虫除け対策」です。虫に刺されるのは嫌だけど、虫除けスプレーにはこだわりがなく、なんとなくで選んでいる方も多いのではないでしょうか。「とりあえず効きそうなものをドラッグストアで購入する」という方も少なくありません。
けれど、最近では虫除けアイテムにも“エシカル”な視点を持つ人が増えてきています。特に子育て中の方やペットと暮らしている方にとっては、「どれだけ安全でやさしいか」が気になるところです。今回は、意外と見落とされがちな虫除けグッズの“成分”に注目しながら、暮らしの中に取り入れやすいやさしい選択肢をご紹介します。
「ディート」ってなに? 虫除けの定番成分
虫除けといえば、市販品でよく見かけるのが「ディート(DEET)」という成分です。これは1950年代にアメリカで開発され、1957年から一般市民向けに使用されるようになった虫除け成分で、蚊やマダニなどに対して高い忌避効果があるとされています。日本でも広く使用されており、特に市販のスプレータイプ虫除けに多く含まれているため、手に入りやすいという特徴があります。
ただし、その効果の高さゆえに、肌への刺激や独特のにおいが気になるという声もあります。厚生労働省では、ディートの濃度に応じて使用年齢や使用回数に制限を設けており、たとえば6カ月未満の乳児には使用が推奨されていません。また、2歳未満の乳幼児への使用についても1日1回までにとどめるよう定められています(厚生労働省「医薬品・医療機器等安全性情報 No.347」より)。
さらに、ディートが含まれた製品が洗い流されて下水から自然環境に流出することで、水生生物や藻類などへの悪影響が懸念されるという報告もあります。ヨーロッパでは、河川水質調査でディートの残留が検出された例もあり、微量ながら生態系への蓄積が問題視されつつあります。
そのため、最近では「できるだけディートを避けたい」「肌や環境にやさしい虫除けを選びたい」と考える人も増えており、ナチュラル志向の方々を中心に、虫除けアイテムの選択基準にも変化が生まれているようです。
天然素材でやさしく虫を遠ざける
では、ディートを使わずに虫を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。近年注目されているのが、天然由来の精油(エッセンシャルオイル)を使った虫除けです。
例えば、レモングラス、ユーカリ・シトリオドラ(レモンユーカリ)、シトロネラ、ラベンダー、ペパーミントなどの精油には、虫が嫌がる香りの成分が含まれています。これらを活用したアロマスプレーやミスト、ロールオンタイプの虫除け製品が増えており、ドラッグストアやナチュラル系ショップ、オンラインストアでも手軽に購入できるようになりました。
また、ミツロウやソイワックスで作られたアロマキャンドルや、吊り下げて使う天然成分の虫除けサシェなど、空間全体をやさしく守るアイテムも人気です。
これらは合成香料や保存料を含まないものが多く、小さなお子さんやペットのいる家庭でも使いやすいのが魅力です。ただし、天然成分であっても、肌に合わない場合があるため、初めて使うときは必ずパッチテストを行うようにしましょう。
たとえば、以下のようなディートフリー虫除けアイテムもおすすめです。

Perfect Potion「アウトドアボディスプレー エクストラ」
生後6か月の赤ちゃんから家族みんなで使える、シトロネラやユーカリ、ペパーミント等の天然精油を使用したアウトドアボディスプレーです。低アルコールタイプのため、敏感肌の方にもお使いいただけます。

MammaBaby「UV & アウトドアスプレー SPF20 / PA++」
1本でUV&アウトドア対策が同時にできるオーガニックアウトドアスプレー。自然由来100%、14の無添加処方で、紫外線吸収剤や使用回数が制限されるディートは含まれておらず、新生児・赤ちゃん・子どもから大人まで、顔・全身に使える夏のアウトドアの頼りになるアイテム。

AROMA HOLIC「アウトドアスプレー」
シトロネラやラベンダーなどの精油を配合し、虫除けとリラックスを同時に叶えるミストタイプ。「アルコール・ディート・合成香料・合成着色料・化学物質・動物性原料」フリーなので小さなお子様にも安心。虫よけ効果と香りだけでは無く、消臭効果もあるので汗をかいた部分にかけるのもおすすめの使い方の1つです。
子どもとペットにやさしい選択肢を
特に子育て中の家庭や、犬・猫と一緒に暮らしている方にとっては、虫除けに含まれる成分が肌や呼吸器に与える影響は大きな関心事です。子どもは肌が薄く、ペットはグルーミングの際に体についたものを舐めてしまうこともあるため、低刺激かつ安全性の高いアイテムを選ぶことが求められます。
その点、天然由来の虫除けグッズは比較的安心して使いやすく、香りも強すぎないものが多いので、日常的に使いやすいというメリットがあります。最近では「ディートフリー」「アルコールフリー」「無香料・無着色」といった表示のある商品も増えてきており、“効けばいい”から“気持ちよく使える”へと、虫除けの選び方も変化しつつあります。
夏の新しい習慣に、新しい視点を
虫除けグッズというと、これまでは「とにかく効くかどうか」が一番大事だったかもしれません。でも、少しだけ視点を変えてみると、自分や家族、まわりの自然にやさしい選び方があることに気づきます。
大切なのは、100点満点の完璧な選択をすることではなく、少しだけでも「気にしてみる」ことです。「使うたびに香りに癒される」「肌にやさしい使用感が心地いい」そんな体験を重ねていくことで、エシカルな選択が“我慢”ではなく、“心地よさ”につながっていくのではないでしょうか。