着物を着用する時、どんな着物にするのかも悩みますが、
どんな帯を選ぶのか、考えるのも楽しいですよね。
今日は、代表的な帯の種類についてご紹介させていただきます。
着物の帯は4種類あり、「丸帯(まるおび)」・「袋帯(ふくろおび)」・「名古屋帯(なごやおび)」・「半幅帯(はんはばおび)」で分けられています。
「丸帯(まるおび)」とは

丸帯は、日本の伝統的な帯の中でも特に格式が高く、豪華な装飾が施される帯の一種です。ハレの場での着物に合わせて使用する帯で、白無垢や色打掛、黒留袖などに合わせられます。
- 特徴
・構造:帯全体が同じ生地で仕立てられ、裏表がなく、一本の反物を折り返して縫い合わせているため、厚みと重量があります。
・幅と長さ:通常の帯よりも幅が広く(約30~35cm)、長さは約4m~4.5mほどあります。
・柄の配置:帯全体に柄が施され、どの部分を見せても美しく見えるように作られています。金糸や銀糸が用いられているものも多く、豪華な印象を与えてくれます。 - 歴史と用途
江戸時代の後期から昭和初期にかけて、武家や富裕層の女性たちの正装として用いられました。特に、明治・大正時代には西洋の影響を受けつつも、日本独自の豪華なデザインが発展しました。現在では、婚礼衣装や芸妓・舞妓の正装、舞台衣装など、特別な場面でのみ使われることが多く、日常的に締められることはほとんどありません。一方で、リメイクやコレクションとしての価値も高まっている状況です。
「袋帯(ふくろおび)」とは

袋帯は、現在もっとも一般的に使われているフォーマルな帯の一種です。格式の高い帯でありながら、丸帯に比べると軽く扱いやすいため、黒留袖や色留袖、訪問着、色無地、そして成人式で着用する振袖など幅広い着物に合わせることができます。
- 特徴
・構造:帯の表と裏を別々の生地で仕立て、袋状に縫い合わせているため「袋帯」と呼ばれます。
・幅と長さ:幅は約30~31cm、長さは約4m~4.5mほど。
・柄の配置:
全通柄(ぜんつうがら):表面全体が同じ柄の帯で、帯全体に柄があるタイプ。柄をたくさん入れる分、作業工程が複雑になるため他の帯と比べても高級品になります・
六通柄(ろくつうがら):帯の約6割に柄があり、締めたときに見えない部分は無地やシンプルな織りになっているタイプ。1巻目は外から見えないので、帯を締めた後の仕上がりは他の帯と変わらない仕上がりになります。
ポイント柄:お太鼓結びをしたときに美しく見えるよう、お太鼓となる後ろと前の部分のみの特定の位置に柄が入っているタイプ。 - 歴史と用途
袋帯は、明治時代に京都の西陣織の織元によって考案されました。それまで礼装用として主流だった丸帯に比べて軽量で扱いやすく、現代ではフォーマルシーンで最もよく使われる帯になりました。仕立て後のサイズは丸帯と変わりませんが、重量のある丸帯と比べ、裏地に無地の生地を使用している袋帯は軽いのが特徴です。留袖・訪問着・振袖に合わせて格式高い場面(結婚式・パーティー・成人式)や略礼装(付け下げ・色無地)に合わせてフォーマルな場面でも活躍します。
「名古屋帯(なごやおび)」とは

名古屋帯は、袋帯や丸帯に比べて軽く、結びやすい帯の一種です。袋帯に次いで格が高いものの、カジュアルシーンで用いられることが多い帯で、普段着から略礼装まで幅広く使われ、現代の着物スタイルに欠かせない帯として親しまれています。
- 特徴
・構造:手先(たれ側)部分があらかじめ半幅(約15cm)に仕立てられており、帯を結ぶ際に折る手間が省ける仕立てになっています。また、胴に巻く部分が短く、お太鼓部分が長い設計になっているため、締めやすく扱いやすいのが特徴です。
・幅と長さ:幅は約30~31cm、長さは約3.6m~3.8mほどで、袋帯より短い。
・柄の配置:
全通柄:帯全体に柄があるタイプ。名古屋帯の左右どちらを手先にしても締めることができます。
六通柄:帯の約6割に柄があり、締めたときに見えない部分は無地やシンプルな織りになっている。お太鼓に締めた状態の時に前太鼓と背中のお太鼓部分に正しく柄がくるように結ぶ必要あり。
ポイント柄:お太鼓部分にのみ柄が配置され、結んだときに美しく見えるように作られている。締められる方の体型によっては、ポイントの柄が上手く出ないこともありますので、帯の柄付け、と帯の長さに注意が必要です。 - 歴史と用途
名古屋帯は、大正時代に愛知県名古屋市の職人が考案したことからその名がつきました。当時の女性たちがより簡単に帯を締められるようにと、袋帯をアレンジして作られたのが始まりです。現代では、普段着や街着(小紋・紬・木綿着物)に合わせてカジュアルに使用される他、略礼装(色無地・付け下げ)に合わせて上品な装いにしたりしています。茶道やお出かけ、観劇などにも適している帯です。
「半幅帯(はんはばおび)」とは

半幅帯は、着物に合わせる帯の中でも名古屋帯よりもさらにカジュアルで軽快な印象を与える帯です。小紋や紬のほか、一般的には浴衣や普段着の着物に用いられ、扱いやすさとスタイリッシュさから、現代のファッションシーンでも人気があります。素材によって適したシーンが異なりますが、どのような素材でもフォーマルシーンには適していないため、注意が必要です。
- 特徴
・構造:半幅帯はその名の通り、通常の帯に比べて幅が狭くなっています。また軽量で扱いやすく、生地が薄めに作られており、軽量であるため、着崩れしにくく、手軽に結ぶことができます。シンプルな構造から装飾性の高いものまで多彩なデザインがあり、カジュアルな着物はもちろん、フォーマルな着こなしにアクセントとして用いられることもあります。
・幅と長さ:幅は一般的には約10~15cm程度、長さは約3.5m~4mほどです。これにより、重ね合わせる必要がなく、シンプルな結び方が可能です。
・柄の配置:リバーシブルのものが多く、裏表で異なるデザインを楽しめるのが特徴。織りや染めによる模様が豊富で、普段着や浴衣に合わせやすい帯です。素材も綿、ポリエステル、麻、正絹などさまざまな種類があり、季節や用途に応じて選べる。 - 歴史と用途
半幅帯は江戸時代から庶民の間で親しまれてきました。特に、女性の普段着やおしゃれ着に使われることが多く、現代でも浴衣やカジュアルな着物に欠かせないアイテムです。現代では、浴衣・普段着(小紋・紬・木綿着物)に合わせたりとカジュアルな外出やおしゃれ着、着付けの練習や初心者向けの帯として使用されています。
いかがでしょうか。普段何気なく手にとっている帯もその経緯や詳細まで詳しく知ることで、更に帯選びが楽しくなりそうですね。次回はそんな帯の結び方についてご紹介できればと思います!
着物選びの参考にしてもらえましたら幸いです。
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Edit by 高島吏紗