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そこは、地域のハブでした。一杯のコーヒーから始まる、新しい旅の楽しみ方

旅の目的とは何でしょうか。有名な観光名所を巡り、ガイドブックに載っているレストランで食事をする。それももちろん素晴らしい体験です。しかし、もしあなたがその土地の空気に、人々の日常に、もっと深く触れてみたいと願うなら、ぜひ試してほしいことがあります。それは、その町にある「珈琲焙煎所」のドアを開けてみることです。

美味しいコーヒーが飲みたい、という気持ちはもちろんありました。しかし私が最近、山形や茨城の鹿島、千葉の旭市といった様々な土地の焙煎所を訪れる中で気づいたのは、そこが単にコーヒー豆を売る場所ではない、ということです。焙煎所は、その地域の文化と人が交差する、生きた情報拠点だったのです。

本日は、そんな地域の情報拠点「珈琲焙煎所」が広げる旅の可能性を探っていきます。

焙煎所は、地域の「小さな博物館」

ある焙煎所の棚には、コーヒー豆の麻袋の隣に、地元の作家が手掛けた陶器のカップが並んでいました。また別の店では、壁一面に町の古い白黒写真が飾られ、店主が「この道は昔、こうだったんですよ」と誇らしげに教えてくれました。また違う店では、常連客と思しきお爺ちゃんが、壁に飾られて色とりどりの絵を訪問者に楽しそうに説明していました。

そうなのです。焙煎所の多くは、店主のこだわりが詰まった空間です。そのこだわりはコーヒー豆だけに留まりません。地元のアーティストの作品を展示するミニギャラリーであったり、町の歴史を物語る品々が置かれた小さな博物館であったりします。そこには、観光案内所では得られない、その土地に根付いた文化の息吹が確かに存在しています。ただコーヒー豆を買いに来たはずが、いつの間にかその土地の歴史や芸術に触れている。この予期せぬ出会いこそ、焙煎所が持つ大きな魅力なのです。

「どんなコーヒーが好き?」から始まる、温かなコミュニケーション

焙煎所でコーヒー豆を買うとき、ほぼ必ず会話が生まれます。「どんなコーヒーがお好きですか?」「酸味は平気ですか?苦いのがお好きですか?」「今日はどんな気分ですか?」店主は、私たちの好みを知るために、丁寧に言葉を投げかけてくれます。

この会話が、魔法の始まりです。

一杯のコーヒーを選ぶためのやり取りは、いつしか自然と他の話題へと派生していきます。「この豆を卸している近くのカフェ、ケーキが絶品ですよ」「夕飯なら、あそこの定食屋が地元の人でいつもいっぱいです」「今週末、向こうの神社でお祭りがあるんですよ」

彼らは、その土地で暮らし、日々情報をアップデートしている、最高の案内人です。彼らとの会話から得られるのは、インターネットで検索しても決して出てこない、温かみのある生の情報。私自身、この会話をきっかけに知ったお店で最高の夕食にありつけたり、地元の人しか知らない美しい景色を教えてもらったりした経験が何度もあります。焙煎所は、人と人とを繋ぎ、旅を何倍にも豊かにしてくれるコミュニケーションの起点なのです。

運が良ければ、地元の人の買い物光景にも出会えます。ある地域では「いつものお願い~」と気さくに入店していたり、また別の地域では「今日は川の水が多いね〜」と日常にある自然の話をしながら入店したりしていました。その土地の方々、どのような情報や自然に触れているのかが垣間見れる貴重な時間なのです。

「焙煎所巡り」という、新しい旅のカタチ

もし次の旅の計画を立てるなら、ぜひGoogleマップを開いて「(地名)+ 珈琲焙煎所」と検索してみてください。きっと、あなたの知らなかった、町の顔ともいえるお店がいくつか見つかるはずです。

観光地を巡る旅に、その土地の焙煎所を訪れるという目的を一つ加えてみる。店主におすすめの豆を選んでもらい、その土地の話を聞く。そして、旅の思い出としてその豆を持ち帰り、自宅で丁寧に淹れる。カップから立ち上る香りとともに、旅先での会話や風景が鮮やかに蘇ってくる。それは、お土産屋さんで買うどんな記念品よりも、深く心に残る体験となるでしょう。

珈琲焙煎所は、コーヒー好きのためだけの専門的な場所ではありません。それは、地域に深くダイブするための入り口であり、文化に触れ、人と繋がるための扉です。

まずは、あなたの町の焙煎所を訪れてみてはどうでしょうか。その一杯のコーヒーが、あなたの日常や次の旅を、もっと味わい深いものに変えてくれるかもしれません。美味しいコーヒーと、まだ知らない地域の物語が、きっとあなたを待っているはずです。

Community Branding Japanについて

CBJでは、全国の地域経済創発活動に力を入れて進めています。PRやブランディングのご支援にはじまり、実際にはたらくことを見据えた地域体験や研修プログラムづくりだけでなく、プロジェクトメンバー自身がLinkedInをはじめとするオウンドメディアでの発信することによって集客も担っていきます。活動にご興味を持ってくださる個人、企業、地方自治体の皆様、お気軽にお問い合わせください!

Edit by 長嶺将也

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