ワーケーションという言葉が浸透して久しいですが、「結局どこでやっても同じでは?」「ただ場所を変えて仕事をするだけで、本当に効果があるのだろうか」と感じているビジネスパーソンも少なくないかもしれません。リモートワークが可能な環境で、いかに生産性を上げ、チームの結束力を高め、さらには新しいインスピレーションを得るか。場所選びの重要性はますます高まっています。
他方、先日ある全国を飛び回っているビジネスマンと話をした際に「ビジネスマンに寄り添ったワ―ケーション施設が少ない…。」といった声も耳にしました。実際問題、僕自身も困っている問題です。
このような背景もある中、今回僕が注目したのは、愛媛県西条市にある「ITOMACHI HOTEL 0」です。ここは、単に景色の良い宿泊施設というだけでなく、訪れる人の意識や企業のあり方そのものに問いを投げかける、非常に戦略的なワ―ケーション拠点です。
ワーケーションの常識を変える「ゼロエネルギーホテル」

愛媛県西条市に位置するITOMACHI HOTEL 0の最大の特徴は、日本で初めて環境省のZEB(Net Zero Energy Building)認証を取得したホテルであることです。簡単に言えば、年間のエネルギー消費量が実質ゼロになるよう設計・運営されている、環境配慮の最先端を行く施設です。
ワーケーションの目的が単なるリフレッシュに留まらない現代において、この「環境性能」は重要な意味を持ちます。多くの企業がESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを掲げる中で、社員が実際にサステナビリティを体現する場所で働くこと自体が、強力なメッセージとなります。

世界的な建築家・隈研吾氏が設計を手掛けた建物は、西日本最高峰の石鎚山を模した美しいデザインでありながら、太陽光パネルの設置面積を最大化するという機能性も兼ね備えています。ここで働くことは、抽象的なスローガンではなく、「未来のスタンダード」を肌で感じることと同義なのです。
Work①
・ゼロエネルギーが実現した社会で、現在エネルギー業界で働いている人たちの働き口はどうなるでしょうか?
・未来のスタンダードをつくるために「今」あなたが行っている行動はなんでしょうか?
集中と交流をデザインする、計算されたワークプレイス

ワーケーション成功の鍵は、個人の集中作業とチームの偶発的なコミュニケーションをいかに両立させるかにあります。ITOMACHI HOTEL 0の空間設計は、この課題に対する明確な回答を示しています。
客室は、休息と集中のためのプライベートな空間として最適化されています。一方で、ホテルが意図的に力を入れているのが共用スペースです。特に象徴的なのが、充実した調理器具を備えた「コワーキングキッチン」。ここは単なる自炊スペースではありません。

例えば、チームメンバーが一緒に地元の食材で料理を作る。この共同作業を通じて生まれるリラックスした雰囲気の中での会話は、会議室でのフォーマルな議論からは決して生まれないアイデアや本音を引き出します。個室に籠りがちなワーケーションの弱点を補い、自然なチームビルディングを促進する仕掛けとして、非常に巧みに機能しています。
Work②
・あなたが共用スペースに入ると、コワーキングキッチンが汚れています。全体研修まで10分。あなたはどのような行動を取りますか?
・全体研修がスムーズに進み、30分ほど早く終わりそうです。急に上長から「最後の30分なにか皆でできることを企画して。」と指示が出てきました。この施設・地域とビジネス的な協創を考えるためのワークショップを実施してください。
「まち泊」がもたらす利便性と学びの相乗効果

ITOMACHI HOTEL 0の真価は、隣接する複合施設「いとまち」との連携によって発揮されます。敷地内には、地元の新鮮な食材が並ぶマルシェ、本格的なイタリアンレストラン、カジュアルなカフェバーなどが集積しています。
これにより、ワーケーションにおけるロジスティクスの手間が劇的に削減されます。「今日のランチどうしようか」「夜の会食場所の手配は?」といった細かなストレスから解放され、参加者は本来の目的である仕事や議論に集中できます。

さらに、マルシェで目にした旬の野菜が、夜のディナーで提供されるといった「マルシェ・トゥ・テーブル」の体験は、地域の食文化や経済循環への理解を深める「越境学習」の機会にもなります。仕事の合間に地域の本物の魅力に触れることで、視野が広がり、新たなインスピレーションを得ることができるのです。
ワーケーションは「経費」から「未来への投資」へ

ITOMACHI HOTEL 0でのワーケーション体験は、従来の働き方の概念をアップデートする可能性を秘めています。ここは、景色を変えるだけの場所ではなく、参加者の意識変革を促す「生きた実験室」です。
サステナビリティを体感し、計算された空間で生産性を高め、地域の魅力に触れてチームの結束を深める。これらはすべて、企業の人的資本とブランド価値向上に直結します。
ワーケーションを単なる福利厚生や経費として捉える時代は終わりつつあります。どの場所を選ぶかが、組織の未来を左右する戦略的な意思決定となるのです。ITOMACHI HOTEL 0は、その有力な選択肢の一つであると、僕は確信しています。
Work③
・あなたの出身地でゼロエネルギーホテルを建設することになりました。あなたの街ではどのような声が出てきそうですか?また、反発の声に対して、あなたはどのように対応しますか?
・西条市は「湧水」でも有名な都市です。もし、あなたの生活の中で水が手に入らない場合、あなたの生活はどのようになりますか?また月の支出に変化はありそうでしょうか?
施設情報
施設名:ITOMACHI HOTEL0
住所:〒793-0027 愛媛県⻄条市朔⽇市 250−7
HP:https://itomachihotel-0.com/
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Edit by 長嶺将也