ことりっぷより引用
名古屋といえば、美味しい「ひつまぶし」や「味噌カツ」が有名ですが、実は「モーニング」も外せません。喫茶店でコーヒーを頼むと、無料でトーストやゆで卵が付いてくるこの独自の文化は、地元の人だけでなく今や観光客にも大人気です。
モーニングがいつそのように始まったのか、知らない方も多いのではないでしょうか。私は愛知県出身なので、幼い時から今までモーニングという文化は日常生活の一部になっていて、週末の朝食は家族や祖父母とどこかしらの喫茶店でモーニングというサービスを（その時はサービスとも感じていなかったのですが…笑）楽しんでいましたが、今回はモーニングについて詳しく調べてみたいと思います。
そもそも「モーニング」とは？
モーニングとは、朝の時間帯にコーヒーなどのドリンクを注文すると、トーストや卵、時にはサラダやおにぎりまで無料で付いてくる喫茶店のサービスのこと。もともとは1960年代に喫茶店が常連客へのサービスとして提供し始めたのがきっかけといわれています。今では名古屋だけでなく愛知県全体に広まり、モーニングの種類もどんどん進化しています。
モーニングが始まった経緯
諸説ありますが、モーニング発祥の地は愛知県一宮市と言われています。一宮は全国的にも有名な繊維の町。昭和30年代は遷移業の全盛期で町のあちらこちらに機屋があり、全国からいろんな業種の方が打ち合わせ等で訪れる機会も多かったとのこと。しかし社内では機織りの機械の音がうるさく商談がしづらいということから、喫茶店を会議室や応接室代わりに利用する会社が多かったようです。頻繁に利用してくれる機屋さんに何か還元しようと、喫茶店側がゆで卵とピーナッツをサービスしたことがモーニングの始まりだと言われています。
その後、喫茶店がはやる一方、繊維業は徐々に衰退していきました。すると繊維業から喫茶店業に切り替える人が増え、一宮市だけではなく、喫茶店がさらに増えていったそうです。
地元のパンメーカーやロースターとの関係
愛知県はパンメーカーの激戦区でもあります。喫茶店の開業ブームに沸き、喫茶店がモーニングでトーストを提供することが普及したことで業務用パンメーカーが急成長していきました。有名なフジパンや敷島製パンも名古屋市で創業した会社ですが、業務用パンメーカーで中でも有名なのは本間製パン。東海3県の喫茶店は約1万3000軒あり、そのおよそ半数のお店にパンを卸しているといいます。喫茶店が使用している業務用のパンは、スーパーなどに並ぶものに比べてお客さんの口に入るまでのライムラグが少ないため保存料を使わず原材料にコストをかけたものが多いようです。本間製パンのパンが食べられる名古屋周辺の主な喫茶店は、珈琲屋らんぷ（愛知県小牧市など※一部店舗のぞく）、さかい珈琲（岐阜市など）があるので、お近くに行かれる機会のある方は是非！私は実家の近くに珈琲屋らんぷがあるので頻繁に食べに行っていたのですが、パンは厚めにカットされており、香ばしくトーストされていながらもふかふかなあのトーストを思い出すと今すぐにでも食べに行きたくなります…。
hitogotoより引用
さらに、愛知県の喫茶店文化に欠かせないのが地元の焙煎業者（ロースター）の存在です。この分野でも名古屋市は地元業者が多いのです。関東はKEY COFFEE、関西ではUCC上島珈琲が有名ですが、名古屋は「ダフネコーヒー」「松屋コーヒー」「ワダコーヒー」という中堅ロースターがとても多いのです。（現在関東に住んでいるとなかなか目にしないロースターばかりです）ロースターは喫茶店に豆を卸すだけでなく、開業支援や経営指南といったコンサル業務もになっており、地元のロースターが喫茶店をバックアップしてきたことが喫茶店文化の発展を支えたと言われています。
エスカ公式サイトより引用
こんなお話しをすると愛知県民はコーヒー好きなような雰囲気が出ていますが、コーヒーの消費量の全国ランキングを見ると23位で（2022年のデータ）コーヒー好きということでもなく…。しかし同年の喫茶代の1世帯当たり年間支出金額ランキングを見ると、なんと1位で6,163円とのこと。この結果からみると、愛知県民はコーヒー好きというよりも喫茶店が好きということをなんとなく感じます。モーニングという文化が根付いている影響か、愛知県民にとって、喫茶店は生活のルーティンに入り込んでいるのかもしれません。
今やコメダ珈琲店を筆頭に全国に広がっているモーニングですが、是非発祥の地で楽しんでみてはいかがでしょうか。
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Edit by 水野友香
