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知られざる海の恵み、未利用魚:その可能性と社会課題

未利用魚とは?

食卓に並ぶ魚は、多種多様です。しかし、私たちが口にする魚は、海で獲れるほんの一部に過ぎません。加えて、近年はメディアやSNSで「美味しい」と言われる魚に人気が集中し、数ある魚の中でもごく一部の魚しか食卓に上がらなくなっています。漁獲されるものの、様々な理由で利用されずに廃棄されてしまう魚たち。それが「未利用魚」です。

画像引用:ロスゼロ

未利用魚には、市場に出回らない魚、サイズが小さすぎる魚、見た目が悪い魚、漁獲量が少ない魚など、様々な種類があります。これらの魚は、鮮度が落ちやすいため、地元で消費されるか、肥料や飼料に加工されることが多いのですが、中には高級魚に匹敵するほどの味を持つ魚や、栄養価の高い魚も含まれていることをご存じでしょうか。

未利用魚とジビエ:意外な共通点

では、一体どれほどの魚が未利用魚として扱われているのでしょうか?農林水産省の統計によると、日本の漁獲量の約30%が未利用魚となっているそうです…。これは、年間約100万トンにものぼる量だそうです。一方、近年注目されているジビエ、つまり野生鳥獣(害獣被害として社会課題に位置づけられています。)の利用率は、捕獲数のわずか13%程度に留まっています。ジビエの個体数増加による農作物被害などが問題視されている現状を考えると、未利用魚の量は、ジビエの利用量の2倍以上であり、その潜在的な価値は計り知れないのです。社会課題と言われるジビエの利用率や個体数よりも2倍も、3倍もの「未利用魚」が存在しているのです。

未利用魚と社会課題:資源の無駄、環境問題、そして地域経済

未利用魚の存在は、深刻な社会課題と密接に関係しています(が、様々な理由からほぼ知られていません)。まず、貴重な水産資源の無駄遣いという点です。食料自給率の低い日本では、食料の多くを輸入に頼っている…と報じられていますが、一方で国内で獲れる魚を有効活用できていないということに、大きな矛盾が発生しています。

また、未利用魚の廃棄は、環境問題にもつながっています。魚を廃棄する際には、二酸化炭素などの温室効果ガスが発生し、さらに、未利用魚を肥料や飼料に加工するにも、エネルギーや資源が必要となります。地球温暖化が原因で、海水温度が上昇し、牡蠣やワカメなどの収穫高が減少している。この原因の一つに、未利用魚などの海の生物の「処理」が関係しているのは、なんとも悲しいことです。

しかし、未利用魚は、地域経済の活性化にも貢献できる可能性を秘めています。未利用魚を有効活用することで、漁業者の収入増加や雇用創出につながり、また、未利用魚を使った新たな商品開発や観光資源化は、地域経済の活性化に貢献できます。

画像引用:クラダシ

昨今のジビエのような一大ムーブメントを起こすためには、漁業関係者だけでなく、加工業者、法整備、建設業など各所での連携や社会課題としての認識・取り組みが必要です。

高まる関心と大きな課題

近年、未利用魚に対する関心は高まりつつあり、その証拠にメディアで取り上げられる機会も増え、未利用魚を扱う飲食店や、未利用魚を使った商品を販売する企業も増えていると言われています。また、消費者の中でも、環境問題や食料問題への意識の高まりから、未利用魚を積極的に食べる人が増えたり、産学官連携で未利用魚の調理法など、様々な開発が進められています。

しかし、未利用魚問題の解決には、まだ多くの課題が残されているのも事実です。それは、未利用魚の「認知度向上」、「流通の改善」、「加工技術の開発」、「消費者の意識改革」など、です。日本は島国で、海の恵みで生きてきたと言われています。しかし、その海の恵みに向き合うことのできていない現状を「知る」ところから、まずは初めて見ませんか?

未利用魚から始まる変化

未利用魚は、食料問題、環境問題、地域経済の活性化など、様々な社会課題と密接に関係しています。未利用魚を有効活用することは、これらの課題を解決する糸口となるはずです。

「お肉はあまり食べないから…」
「ジビエは匂いや食感など、苦手意識があって…」

という言葉をよく耳にします。
「魚なら大好きなんですけど…」という言葉も、よく同時に耳にします。そうなんです、未利用魚はジビエとは全く異なる「海の恵みの美しい料理」を味わうことができるのです。

現在は、流通ルートの整備が進み切っておらず、スーパーで見かけることは少ないですが、産地直送のオンラインマーケットや地域のお魚屋さんで取り扱っているかもしれません♪ぜひ、「未利用魚」がたくさんの食卓に上がり「安くて美味しいお魚」になっていきますように…✨

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CBJでは、全国の地域経済創発活動に力を入れて進めています。PRやブランディングのご支援にはじまり、実際にはたらくことを見据えた地域体験や研修プログラムづくりだけでなく、プロジェクトメンバー自身がLinkedInをはじめとするオウンドメディアでの発信することによって集客も担っていきます。活動にご興味を持ってくださる個人、企業、地方自治体の皆様、お気軽にお問い合わせください!

Edit by 長嶺将也

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